グランプリ 総務大臣賞

株式会社ケーブルメディアワイワイ

切れた堤防
宮崎県延岡市に見る霞堤~

受賞者の声


山元拓朗さん
地域のためを思って制作した番組がこのような形で評価されたこと大変嬉しく思います。本番組は「切れてしまった」のではなく、はじめから「切れている」堤防という特殊なケースで自然災害と共存している地域を描いた番組です。水害の実情、受け入れる住民の思い、取り巻く課題、取材を通して地域と向き合うことで改めて地元メディアに求められる役割とは何かということを再認識させられました。今回の受賞を励みに、これからも現場の声を丁寧に拾い集めながら地域の持つ可能性を探っていきたいと思います。

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審査員長 音 好宏 氏

「霞堤」と呼ばれる「切れている」堤防の存在は、定期的にやってくる大水害と共存していくための治水方式であり、この地域の知恵と言える。ところが、この地域における堤防の必要性に関する意識調査を紹介しながら、その存在意義が、あまり理解されていないことも指摘しているところは興味深い。作品は、北川水系における水害対策史・治水事業史を丁寧に紐解いており、その地域史的価値も評価できる。

審査員 河野尚行 氏

戦国時代の治水の知恵が現代に生かされているのに驚いた。河川の本流に逆方向に切れ込みを数か所入れ、大水の時、バックウオーター現象で周囲の田畑に水を逃がし大洪水を防ぐ。その年は田畑に被害が出るが、翌年からは上流から運ばれた肥沃の土が水田を潤す。住宅地は12mも嵩上げされている。近年、堤防の高さだけ高くして川沿いの水田地帯に新興住宅地が広がっている。そこの堤防が豪雨で決壊したらどうなるか。最近の異常気象がその惨事を各地で示している。歴史を浸み込ませた地域のハザードマップに注目しよう。

審査員 佐々木嘉雄 氏

わざわざ洪水を起こして堤防を守るという「霞堤」と呼ばれる治水法があったということを、この番組によって初めて知りました。
しかし、その地域に居住する人たちの生活はどうか?という疑問も生じました。家屋の嵩上げという方法で対策をとっているということですが、昨今の豪雨を伴う台風などでは、それでも水害の恐怖はまぬがれないという。延岡市にはその「霞堤」が6カ所もあるという。
「霞堤」には、上流の農村部が洪水になることで、下流の都市部を守るという役割もあるとか・・・。しかし、今日ではその意義を知る人も少なくなっているという。災害が増えている今日、あえて被害を少なくするために設けられた「霞堤」の存在とその意味することを、みんなが理解し協力することが必要だと番組は訴える。
地域の問題を提起する問題提起型ドキュメンタリーとして高く評価できるし、映像記録としても貴重なものと言える。

審査員 橋本佳子 氏

列島各地に激増する豪雨災害。メディアがどう災害に取り組むかは、今後の大きな課題とされるなか、時宜を得た良企画。珍しい治水方式「霞堤」とその地域を丁寧に見つめた。水と共存するための古くからの先人の知恵とはいえ、大洪水から堤防の決壊を守るために小さな洪水を起こすとは!「霞堤」の仕組み、そこにいたるまでの地域の歴史、そして台風のたびに小さな洪水で水浸しになってしまう住民たちの暮らしがコンパクトにまとめられていた。流域全体としての今後の問題についても的確に提起されていて、このあとも継続して取材を続けていただきたいと思った。夏の「虫追い」祭の美しい映像が心に残る。

審査員 藤森 研 氏

自然との一つの「共生」のあり方を示唆して興味深い。地球温暖化に伴うと考えられる異常気象が続き、さらに「ウィズ・コロナ」も言われる中、ユニークな治水法「霞堤」を取り上げた企画力に拍手したい。 霞堤が「中流域の地元を守る」のか、「下流域への恩恵」に重点を置くのか、学者によっても考え方が違う。番組が性急に“正解”を出さず、問題提起型にとどめたことも好感が持てる。 時代適合的(タイムリー)な力作だ。

審査員 日笠昭彦 氏

災害の陰にある、もう一つの被災者の存在。堤防にあらかじめ切れ目を設け、大雨の際にあえて河川の水を引き入れて氾濫を抑える「霞堤」。この治水方式が流域にもたらす効果と、洪水を受け入れる住民の苦悩を交差させる展開に冒頭から引き込まれました。霞堤の歴史や構造だけでなく「牛舎や倉庫のかさ上げは助成の対象外」「個人の敷地に流れ込んだ物は個人で処分」といった課題や住民の苦悩に、地元メディアならではの視点で寄り添っていたのが秀逸です。豪雨被害が頻発する中、実にタイムリーで「このまま一部の集落の犠牲に頼ったままでいいのか?」「近年の激しい雨の降り方に霞堤は有効なのか?」深く考えさせられる番組でした。

審査員 服部洋之 氏

当該地域の住人でなく一般の視聴者に「霞堤」の存在を知らせるテーマ設定を評価。戦国時代に発祥が遡る「霞堤」が、実はきわめて俯瞰的かつサスティナブルな治水発想であったことに驚かされた。西洋医学は対症療法であり局所の治療は得意である一方、東洋医学は身体全体のバランス、気血水の流れを滞らせず未病を防ぐことに長けているように、「霞堤」もまさしく東洋医学的に河川流域全体をホリスティックにとらえることで流域全体を生かそうとしている。中流での堤防決壊のリスクか下流での洪水被害か、という地域間の利害にも触れながら、水害の頻度は近年急激に増していく中で、水とどのように共存していくのか、日本の治水というものを深く考えさせられた作品。

審査員 金森郁東 氏

霞堤と言う言葉を初めて知りました。この様な内容を全国に紹介できるのはとても素敵です。とにかく取材と収録が丁寧で気持ちが良いです。私の出身地も分水路ができるまでは毎年のように氾濫していて、私の家にいた牛を小牛だけ逃がして親牛は頭だけ出して、ぷかぷか浮かんでいたのを作品を見て思い出しました。災害時にタイミング良く映像やインタビューを撮れる取材体制は、大変でもありますが醍醐味ですね。編集の流れや音つなぎも自然で良いです。

準グランプリ

シーシーエヌ株式会社

柳ケ瀬再開発
~街が消えるまでの1年間~

受賞者の声


竹内伊吹さん
岐阜市の柳ケ瀬商店街という街と、そこに住む人の魅力が伝わってこのような賞を頂けたことを大変うれしく思います。番組で取材をした方々に受賞の報告をした際は、皆様大変感激してくださいました。今はもう見ることが出来ない商店街の姿を記録した番組であり、CCNにとっても柳ケ瀬商店街の皆様にとっても特別な意味を持つ番組となりました。今後もCCNでは、柳ケ瀬商店街に限らず、時代とともに移り変わる地域の様子を記録し、地域メディアとして地域の財産となるような番組を作り続けていきます。

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審査員長 音 好宏 氏

再開発計画に基づく柳ヶ瀬商店街・岐阜高島屋南地区の取り壊し工事までの約1年を、路地裏にまでカメラが入り込んで、ケーブルテレビ取材らしい住民目線で追い続けたこの作品からは、この地区で暮らしを営んできた人たちの生活臭が滲み出てくる。次々と語られる地元の商店街への想いには、心を揺さぶられる。地域の姿の記録した映像としても歴史的な意義のある作品。

審査員 河野尚行 氏

「柳ケ瀬ブルース」あの演歌が浸み込んだ商店街が消える。再開発に迫られて古くからの商店街が様々な想い出と共に消えていく。大衆食堂、居酒屋、花屋、タオル屋、傘屋、表具屋、模型玩具店。親の商売を引き継ぎながら、これを機会に店を閉める年寄りの身の上話が身に染みる。馴染みの街並みと共に、自分の商売が消える感慨。「この街のセンスは良くないが、人はみんな良かった」「近代化しても名古屋が近いから街は寂れる」という達観。地方都市によくある話だが、これほど町衆の気持ちを救い上げた番組は他にない。

審査員 佐々木嘉雄 氏

街の再開発に伴い、店主たちの高齢化もあって閉店する店、消えるかもしれない商店街。 全国どの地域でも当面している課題かも知れません。そんな古く歴史のある地元商店街を1年間にわたって取材したドキュメンタリー番組です。 100年も続いてきた店も閉店する。あるいは再開発ビルに入居する店もあり、それぞれの事情が切なく語られます。そうした商店主たちが思いを込めて取材に応じてくれています。これこそ地域に根差すケーブルテレビ局ならでは力ではないでしょうか。 これは記録映像としても貴重なもので、心に残る番組に仕上がっていました。余音のあるエンディング、ナレーションも心に浸みました。

審査員 橋本佳子 氏

30分という短い尺ながら、再開発によりひとつの商店街が消えゆくさまを10人余りの群像で見事に伝えた。再開発地に残り続けるもの、別の地に移転するもの、廃業するもの、一人一人の捉え方、描き方が抜群にうまく、人、店、街が重層的に浮かび上がる豊かな作りになっている。短いシーンでもその人の人生に思いを馳せることが出来るのは作り手の愛情のなせる技か。柳ヶ瀬の地名だけしか知らない私にも、この街に生きた登場人物たちの表情が忘れ難く、長年にわたり親しんだ地元の人にはことさらな貴重な記録になったと思う。地図から消えても人々の記憶にいつまでも残る良作。

審査員 藤森 研 氏

ステレオタイプの「柳ケ瀬、涙のお別れ」でなく、一つの商店街が、そこに暮らしてきた人たちそれぞれの事情や感慨を抱え、現実的に変化していくさまを活写し、深みのある秀作となった。 登場するミナさんの「この通り好き。みんなセンスよくないけど」とか、玉子屋食堂主の「常連さんだと思っとったら大間違いやで。お客さんの勝手やでね、どこで食べようと」などのリアリティある言葉を引き出せたのは、取材相手と築いた関係性ゆえだろう。 ドキュメンタリーは取材者自身をも照らし出すことを、改めて感じる。

審査員 日笠昭彦 氏

アーケードの屋根の上で語る店主やタオル屋さんの本音、傘屋さんの亡き父への思いなど、なんとも味わいのある群像劇です。制作者の取材実感を含んだ問いかけや、生花店閉店の夜のナレーションに頼らないテロップの使い方が心地よく、一方で「自分とこの常連さんと思っとったら大間違い」という食堂の親父さんの言葉からは商いの厳しさが迫ってきました。欲を言えば「65歳以上の店主は〇割」「廃業が〇軒、移転は〇軒」といった俯瞰した情報があるとさらに理解が進んだと思います。取り壊す重機の音は一つの時代を閉じるため息か…それとも新しい時代の鼓動か…「バトンをつなぐ」という原稿から取材者の優しくも冷静なまなざしを感じました。

審査員 服部洋之 氏

街に生きる「人々の年齢×再開発への感受性×自分の人生」が絶妙に絡み合い、長年の計画に翻弄されてきたそれぞれの人生を垣間見ることができた秀逸な作品。地域の懐深くに入り込むことでしか得られない日常を超えたインタビュー、一方で客観的に再開発をとらえていく制作者の視点のバランスによって絶妙に成り立っていました。中の人々(柳ケ瀬の住人)が「(長年、翻弄はされてきたが)再開発は、無駄だとは思っていない」という事を伝えることで番組を昇華させた。

審査員 金森郁東 氏

中部圏出身という事と、世代的に柳ケ瀬ブルースの印象があまりにも強く観入ってしまいました。1年間丁寧に取材されていてとても印象深いです。この歓楽街に限らず全国的にも老朽化・高齢化に伴い、かつての大人の社交場が大きく変化するんだと考えさせられました。編集の流れも良く素晴らしいです。少し残念なのは、音声収録が難しく音バランスを取るのが大変なのは十分承知の上で申し上げると、音つなぎをもう少し丁寧にできればより良くなりますね。

パブリック・ジャーナリズム特別賞

株式会社中海テレビ放送

中海再生への歩み
市民と地域メディアはどう関わったのか


※この番組は配信できません
受賞者の声


上田和泉さん
この度は、日本ケーブルテレビ大賞番組アワード「パブリック・ジャーナリズム特別賞」を受賞させて頂き、誠にありがとうございました。これは、単に番組だけではなく、20年にわたって市民の皆さんと地域メディアが力をあわせて「中海」の浄化活動に取り組み、念願だった「泳げる中海」を実現させた一連の活動を評価して頂いたものと受け止めています。受賞して改めて思うことは、地域のあり方を考え、実践する上で市民とケーブルテレビとの協働・連携は益々必要だということです。全国各地で市民とケーブルテレビが手を取り合って行う活動が増え、地域メディアがこれまで以上に街に無くてはならない存在となることを期待しています。

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審査員長 音 好宏 氏

中海テレビ放送は、そのコミュニティ・チャンネルを使って、地域のニュース取材・報道に力を入れるケーブルテレビ局であることは知られているが、開局以来、同チャンネルを通じて、住民と共に地域の課題を顕在化させる取り組みを行ってきた。このエリアのランドマーク的存在でもある中海の環境保全に取り組んだ活動と、その過程を記録した本作品は、住民参加型のケーブルテレビらしいジャーナリズム活動として高く評価できる。

審査員 河野尚行 氏

地域社会全体を巻き込み、地元の汽水湖を浄化する20年の記録である。かつては赤貝や魚も豊富で海水浴場としても賑わった鳥取・島根両県にまたがる中海。戦後の経済成長の中で、淡水化して埋め立てる計画もあり、家庭用排水、工場排水で茶色に濁った中海湖畔はゴミ捨て場になっていた。そんな中、10年で泳げるようにしようと高い目標をかかげ、地域全体を巻き込むキャンペーンを展開。地道な生活排水浄化運動、沿岸市町村合同湖畔清掃運動を実施。やがて水泳連盟の「ウオータースイミング全国大会」を開くまで中海の浄化は進む。キャンペーン放送230回。放送・市民一体になっての見事な成果である。

審査員 佐々木嘉雄 氏

国の干拓淡水化事業をきっかけに水質汚染が進んだ中海の水質改善をめざして市民団体と地域メディアである中海テレビ放送が「中海再生プロジェクト」を立ち上げ、19年間にわたって中海テレビが放送してきた「中海物語」の編集編ともいうべき作品。
ボランティアによる湖岸清掃、子供達の環境パトロール、行政も巻き込んだ一斉清掃などのイベント、さらには中海オープンウォータースイムの開催など、様々な活動とそれを番組として伝え続けた地元ケーブル局の活動を高く評価したい。
「中海物語」が平成14年に放送終了となったことに“待った“をかけた放送ジャーナリス 馬場康一氏(故人)のエピソードもドラマを感じさせる。1年のブランクをおいて番組が再回され、プロジェクト活動が功を奏してオープンウォータースイミング大会が開催されるに至った。活動は今も続くが、中心メンバーの高齢化が課題という。
新たな目標、米子港で赤貝養殖開始の成星を期待して中海テレビの番組活動はまだ続く。

審査員 橋本佳子 氏

さにパブリック・ジャーナリズムにふさわしい20年にわたるメディアの記録。水質汚染が進む中海再生を地域メディアとして先頭にたち、自ら旗振りをし、さまざまなキャンペーンを企画、その活動をメディアとして伝え、そのことにより、さらに人々を巻き込んでいく。コツコツと続けてきた中海再生へのメディアと地域の人々の歳月を一度に見ることができた総集編は圧巻だった。不可能なこと無理なことでも小さなことを積み上げていくことの大切さ。「継続は力なり」。諦めに近いシニカルな空気が漂っている今の日本社会に希望を与える灯火となる番組。多くの人に見てもらう機会を作って欲しい。

審査員 藤森 研 氏

ケーブルテレビの特性を生かし、地元とともに中海再生の一翼を担ってきた姿勢に感銘を受ける。中海オープンウォータースイミングなど、成果も生みつつある20年間の歩みをまとめて、番組内容に厚みがある。
先行例の諏訪湖の取り組みに学び、県境問題を乗り越えて、現在の諏訪湖にも逆に刺激を与えていくダイナミズムが興味深い。
メディアと市民の関係は、現代の重要な課題だ。中海再生は両者のコラボレーションの好例だが、おそらく順風満帆ばかりではなかったろう。市民とメディアの関係性に絞って掘り下げた作品も個人的には観てみたい。

審査員 日笠昭彦 氏

メディアが地域再生に取り組み、中海の浄化と共に人々に笑顔が増えていく過程を長年にわたり記録し、まとめあげた労作です。番組は、ばばこういちさんの登場と共に緊張が増してぐっと面白くなりました。メディアと市民が協同で環境活動に取り組む「中海方式」は、地域社会が抱える他の課題…例えば、急増する空き家、買い物難民、耕作放棄地などについてもいいお手本になるのではないでしょうか。一つ注文を付けるなら、この番組は肝心の「中海の水」をあまり見せてくれません。もっと水を間近に見たかった。さらに細かな点ですが、サイドスーパーなどを工夫して使うことで長年にわたる取り組みをもう少し整理して見せることができた気がします。

審査員 服部洋之 氏

この取り組みは「メディアの本当の解」だと思う。メディアの使命とは何かに一つの答えを示した、まさしく「日常×自分の物語」事化したことだ。宇野常寛著「遅いインターネット」に、20世紀、映画は「他人の物語」を非日常で見せてきた、それ以降、テレビは「他人の物語」を日常(お茶の間)で見せてきた。しかし。それはあくまで「他人の物語」である。しかし、この取り組みと伝えたメディアは、「日常」で「自分の物語」を語り始めたのである。メディアにとって手つかずのフロンティアな領域を、ケーブルメディアは長年かけて熟考し試行錯誤し、送り手受け手という単純な構造ではなく、「中海再生」という社会的使命、環境改善という大テーマを「自分の物語」化できたことに評価。活動メンバーなど関係者の高齢化が進む中、「自分の物語」化で永遠な取り組みに昇華できるよう懇願。

審査員 金森郁東 氏

審査員誰もが認める内容で私も一気に拝見できました。中海再生と言うテーマも秀逸で見応えがあります。地域メディアとしての優位性を見事に生かした作品で、収録素材を生かした編集と仕上げはとても良く好感が持てます。最近では取材者が一人で編集することが多くて、なかなか客観評価が得られない中で完成してしまい、どこかでバランスが悪くなるケースが多々見受けられますが、局内での制作体制の良さなのか、とても仕上バランスが自然でした。

コンペティション部門

優秀賞
NHK WORLD-JAPAN賞

諫早ケーブルメディア株式会社

歌は暗闇を越えて
~夢は歌手 盲目の世界に生きる少女~

受賞者の声


森下拓磨さん
この度は、コンペティション部門優秀賞、さらにNHK WORLD-JAPAN賞を頂きました事、とても栄誉のあることと感動しています。今回のNHK WORLD-JAPAN賞で、全世界160か国で放映されることは「歌手になりたい」という夢の実現のため大きな一歩だと、道辻さんご家族とも話していまして、これからの番組の展開が楽しみです。私個人の感想になりますが、ケーブルテレビでの番組制作という道を選んだこと、間違っていなかったと本当に思える出来事でした。最後になりましたが、このような栄誉ある表彰式に参加できたことを心から感謝するとともに、今後とも、多くの人たちにお力添えを頂きながら、番組作りに邁進していきたいと思います。

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審査員長 音 好宏 氏

道辻結那ちゃんは視覚にハンディキャップを持ちながらも、周囲が彼女の音楽的センスを見い出すとともに、諫早市立図書館のパブリックスペースでコンサートを開くなど、地域で結那ちゃんを見守っている様子がよく伝わってくる。選んだ楽曲のジャンルがゴスペルというところも、諫早ならでは。単に障害者にフォーカスしたドキュメンタリーではなく、地域社会が彼女を見守り、支えている様子が丁寧に描かれており、好感が持てた。

審査員 佐々木嘉雄 氏

生後4か月で病気のために視力を失った9歳の少女が、やがて音(歌)の世界に目覚め、力強く活動するする姿を取材しています。
普段の姿からは盲目とは思えない活発で明るい性格の結那ちゃん。その取材される結那ちゃんやその家族と、取材する側のケーブル局のスタッフとの関係性が思ばれます。また学校にもカメラが入っていますが、そこにも信頼感が感じられます。ピアノを弾きながら歌をうたう姿に、ピアノの先生が感動しますが、30歳台の若い父と母の苦悩と葛藤にも感動させられます。
本人の性格、家族の愛情、周囲の人々の理解、そしてケーブル局の応援。第30回番組アワードでグランプリを獲得した上田ケーブルビジョンの「僕はボクだから~山崎福太郎君~」という番組を想い起しました。
今後もぜひ彼女を取材し続けて欲しいと願っています。

審査員 藤森 研 氏

「赤ってどういう色?」と不自由さを抱えつつ、手の感覚による鍵盤の弾き語りに挑戦する結那ちゃんの前向きさが伝わってくる。支える両親の姿も、等身大によく描かれている。盲学校を選択した過程などにも淡々と触れて過不足がない。 クライマックスの弾き語りの発表会シーンでは、見ているこちらも知らぬ間に力が入って応援していた。それだけ引きつけられる作品なのだと思う。それは、撮る側の密着度、寄り添い度のゆえではないかと感じた。

奨励賞

株式会社ジュピターテレコム

倉本聰 小山薫堂 
妄想ふたり旅 長崎編


※この番組は配信できません
受賞者の声


宮田晋太郎さん
昨年の9月、当番組のロケを長崎で行いました。今回、同じ時期に日本ケーブルテレビ大賞を受賞して、残暑の中、倉本先生と薫堂さん、スタッフ一同頑張って撮影したことが思い出されます。撮影ではお二人ならではの世界観、考え方など随所に感じることができました。とても貴重な経験だったと思います。そして、その日本を代表する作家二人が物語を発想する瞬間を視聴者の皆様にもお伝えすることができ、きっと楽しんでい頂けたと思います。今回の受賞を励みにして、より視聴者の皆様に共感してもらえる番組を制作していきたいと思います!この度はありがとうございました!!

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審査員 橋本佳子 氏

上質な大人の旅番組。日本を代表する脚本家 倉本聡と小山薫堂の二人旅は、自然体でありながら すみずみまで計算され、妄想ストーリーを、この旅時間のなかで創作するという仕掛けが、何とも心憎い。さらに さだまさし、中嶋朋子という一流メンバーが揃い、贅沢な気分にさせてくれた。
詩島、銀嶺、被曝楠の木、銭湯、皿うどん、、、長崎を巡りながら語られる倉本節ともいえる言葉ひとつひとつが、味わい深く、語る倉本も、引き出し役の薫堂もさすがにテレビの達人、どこをとっても、面白い。番組のラスト10分余の妄想ストーリー対話はこれぞテレビの醍醐味。この二人での旅を、またぜひ見たい。

審査員 日笠昭彦 氏

「テレビや雑誌を通して見慣れたはずの風景が、稀代のクリエイターの眼を通すとこうなるのか」という新鮮な驚きを覚えました。加えて「旅先で受けたインスピレーションをもとに、旅の最後にその土地を舞台にしたオリジナルの妄想ストーリーを紡ぎだす」という仕掛けが興味深く、楽しく拝見しました。さだまさしさんが所有する島に始まり、原爆の爪痕を残す神社や倉本聰さんが感銘を受けた画家の絵を飾るレストランなど、二人の感性を揺さぶる訪問先のセレクトも奥行きがあります。何より「妄想」のプロともいえる旅人二人の世界観が興味深く…作家がインプットする瞬間やそのリアクションを覗き見ることができる濃密な1泊2日の旅でした。

知多メディアスネットワーク株式会社

伊勢湾台風特番 濁流の記録 
~伊勢湾台風から60年~

受賞者の声


山川 剣さん
伝統あるこのアワードで選に入りましたこと、たいへん嬉しく有難い思いです。伊勢湾台風による未曾有の災害が発生して60年たちました。惨禍への畏怖の念が少しづつ薄れていく中、犠牲者の皆さまへ追悼の意を表すと共に、今なお尊い命が奪われる災害が繰り返されている現実を前に、地域の方々に改めて防災意識を高めて頂けたらとの願いを込めて制作しました。制作にあたり、ご協力頂いた関係各所の皆さま、出演して頂いた皆さま、また、制作協力頂いたプロダクション関係者の皆さまに心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

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審査員 河野尚行 氏

史上最大の台風被害を出した伊勢湾台風。あれから60年、改めて当時の記録映像と証言を集め、伊勢湾台風の実態を多方面から検証する充実の番組。特に被害が多かった名古屋市南部、伊勢湾からの高潮と貯木場の流木が凄まじい勢いで街並みを襲い、多くの人命を奪う。被害の実態は今も鮮明に年配者の記憶や子供が書いた多くの文集に遺されている。この台風は伊勢湾からノリ養殖など15もの漁協を廃業に追い込み、工業地帯に変貌させたことも伝えている。台風進路の東側に当たる伊勢湾一帯の死者数5000人を越える。

審査員 藤森 研 氏

異常気象で台風被害が頻発するいま、戦後史に残る伊勢湾台風のメカニズムを顧みることは重要だ。台風のコースと地形の関係、低気圧による「吸い上げ」と風の「吹き寄せ」効果で潮位が上がる高潮など、台風の気象現象をわかりやすく描いた。
それだけではなく、家族6人を失い、自らも九死に一生を得た女性の実感的で重い体験談なども組み合わせた番組構成になっており、重厚な特番になった。
一方、名鉄の話などは復旧記録として必要かもしれないが、やや「あれもこれも」感がある。思い切って焦点を絞った方がインパクトの強い作品になったのではないか。

株式会社ケーブルワン

豪快一本 ~自分らしく投げる~


※この番組は配信できません
受賞者の声


小野修平さん
撮影に協力して頂いた近藤選手、関係者の方、審査員の皆様、大変ありがとうございまし た。番組では高校生アスリートが困難を乗り越え成長する姿をとらえました。将来トップアスリートになる可能性を秘める選手が地元にいることを知ってもらい、地元のエールにつなげたいと思い制作しました。今回こういった賞を頂けたことは番組を楽しんでいただけたという風に感じております。その点がとても嬉しく感じます。地域にはこうした人や物などこれから「光る」ものが残っていると思います。今回の受賞はケーブルテレビとして地域の貴重なものに気づき発信していく励みとなりました。

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審査員 佐々木嘉雄 氏

2018年に全国高校柔道選手権とインターハイの2冠を達成した柔道少年の連覇を目指す1年間を追ったドキュメンタリー番組。
とにかく投げるということにこだわった近藤隼斗君の姿勢がすさまじい。連覇がかかった2019年の全国高校選手権は「勝って当然」という周囲のプレッシャーから柔道を楽しめなくなり、あえて欠場を決意する。そんな近藤君を誰よりも理解する柔道部の原田監督。この二人の絆がうまく描かれている。
また、ケーブル局がかつて取材した小学生時代の映像が可愛らしく、柔道以外の映像・表情が良く取材されている。全国高校選手権は欠場したが、続くインターハイでは見事に連覇を果たし、笑顔をとりもどす。そこにドラマを感じました。
将来、オリンピックで金メダルを夢見るという柔道少年の前向きな力強い姿に期待したい。

審査員 日笠昭彦 氏

主人公が「壁」にぶつかって出場辞退を決意するあたりから、がぜん引き付けられました。近藤君や他の部員への原田監督の対応、その後の「心の強化」「心の弾力性」を導き出す過程を追うことで番組に深みが増しました。ネームプレートが外される映像や観客席の描写など、試合会場の撮影も計算されていて丁寧なつくりです。ラストの試合=大一番での臨場感をそがないインタビューの使い方も流れを止めず手慣れた印象。ディレクターへの信頼感も随所に見えました。今後トライして欲しいのは「投げ」や「一本とる」ための身体能力の高さの検証。ユーチューブで研究する技とは何なのか?そんなマニアックな世界ものぞいてみたいと思いました。

伊万里ケーブルテレビジョン株式会社

郷土の宝 タイワンツバメシジミ
~保存会 2年間の活動記録~

受賞者の声


大野梨花さん
この度はこのような賞をいただきありがとうございます。早速、保存会の松本輝彦会長にご報告したところ「わぁ~」と感動の声を上げて「活動を続ける励みになる」と喜んでくださいました。保存会は、大野岳のふもとにある道の駅に案内看板を設置するなど精力的に活動を続けています。今後も継続して取材を続け、番組制作という形でタイワンツバメシジミの保護活動に参加していきます。

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審査員 河野尚行 氏

小さき生命を愛しむ年寄りたちの活動。絶滅危惧種の貴重な蝶が自分たちの郷土に生息している。如何にしてこの命を長らえるか。老人たちは、タイワンツバメシジミの餌になる「シバハギ」の植栽を守ることから始める。そして中学生を引っ張り出し、若手青年の入会者も増やす。大野岳山麓に展開する爽やかな自然保護活動。地元のTVが活動を記録し伝える事も大いに励みになったに違いない。

審査員 橋本佳子 氏

小さな小さな宝物タイワンツバメシジミの生態とそれを守るための地元の人々の奮闘努力が描かれた。まずは、草刈り、そして餌のシバハギ、風除けのアジサイの植樹と大野岳山頂で繰り広げられる保護活動のそれぞれを丹念に取材。タイワンツバメシジミの成虫はもとより幼虫、卵まできちんと撮影されており貴重な蝶の姿には感動を覚えた。伊万里の天然記念物ともなった蝶の存在をきちんと知らしめた意義は深く、次第に保護活動の輪が広がっていくさまを、見るにつけ、この番組が、果たした役割は大きかったのではないだろうかと推察する。それにしても保護活動に携わる皆さんがとても素敵だった!

コミュニティ部門

優秀賞

株式会社インフォメーション・
ネットワーク・コミュニティ

シリーズ「体験!りんごと生きる」
総集編

受賞者の声


伊藤研志さん
1年間りんご栽培のご指導をいただいたレインボウアップルガーデンの島田さんはじめ、長野市信更町のりんご関係者の皆様のご協力に改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。この番組は、りんごの名産地である長野市の人たちに、身近なりんごについてもっと知ってもらいたいと企画しました。取材を通して、りんご栽培は地道で忍耐力のいる作業の連続だと実感するとともに、美味しいりんごを作るためには、時間との勝負であることも知りました。この番組をご覧になった後、お店で長野産のりんごを見かけたらぜひ買って食べてみてください。りんご農家の思いがギュッと詰まった、甘酸っぱくてさわやかな味が堪能できるはずです。

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審査員 河野尚行 氏

地場産業・りんご農家の一年間の仕事内容を分り易く伝える。口は達者だが、手は遅いTVタレントと青年期が過ぎたハンサムな農家の組み合わせが絶妙。春の藁敷、5月の摘花、、6月の摘果、7月の草刈り、入梅明けの鳥よけ鷹凧、9月の早生品種の収穫と小学生のリンゴ摘み、10月の台風19号後の『フジ祭り』収穫の喜び、冬季の選定作業。そしてリンゴ酒作りなど農業の6次産業化も紹介、自然相手の地場産業を詳しく伝える秀作。

審査員 橋本佳子 氏

抜群に面白く楽しめた。りんご農家で1年栽培を体験するという企画、痒いところに手が届くようなわかりやすく伝える取材と編集、自然と風土を捉えた見事な映像。何よりも番組の随所に新鮮な発見があった。何気なく食べるひとつのりんごができるまでにどれほどの農家の労苦があるのか。自然と共にりんごを育て上げる地道で膨大な作業をここまできちんと伝えてくれたスタッフと りんご農家島田さんには敬意を表したい。(島田さんでこそ成立した企画。「りんごと生きる」そのものだ)台風19号、そして温暖化、りんごの環境は厳しく、農家たちの先行きは決して明るくはないが、私もりんごを食べることで応援をしたくなった。島田さんのりんごを食べてみたい。

審査員 服部洋之 氏

コミュニティ放送において地域を一年間通して追いかけ、まとめあげる企画は多い。また農業という視点の切り口もたくさんある。しかし、その中でこの作品は単にリンゴ農家の一年を客観的に追跡するだけでなく、「リポーターが共に(苦しみ、楽しみ、語らい)りんごを作り上げる」という共創の概念を含んでいる。農業は傍で見るほど簡単ではない。その時間的、技術的、あるいは精神的なハードルを共に乗り越えていく姿が優しく伝わった。 1年間を共にすると、農家の青年の人となり、リポーターの人間性が表れてくる面白さも垣間見られた。

株式会社長崎ケーブルメディア

NAGASAKI水中散歩 ~総集編~

受賞者の声


藤岡英嗣さん
素晴らしい賞をいただきありがとうございました。8年前ダイビング経験のないカメラマンが毎月1回潜ると決め、撮影してきた長崎の海。案内役の中村さんと共に見つめてきた生き物達は、生き生きとしていて撮影がとても楽しい時間です。磯焼けなど変化する環境の中、南の魚たちが増え長崎の海も変化しています。それが良いことなのか悪いことなのか、難しい問題ですが、見つめ続けることでその解をこれから探して行きたいと思います。

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審査員 佐々木嘉雄 氏

かねて水中撮影に取組んできた長崎ケーブルメディアが、8年間の映像を集大成した総集編としてエントリーした番組。海の中の映像は文句なく美しい。 有明海や大村湾など海に囲まれた長崎。その海の中の生物などを水中観察家(ダイビングガイド)の中村さんが紹介するが、その海の生物の映像と中村さんの解説(ナレーション)が楽しい。例えば大村湾は、流れがないので栄養価が高くカキがうまいという。しかしアマモの減少をどう防ぐか、水のにごりなど中海と同じような課題が存在するという。 毎回様々なテーマであきさせないし、総集編も多種多様で楽しめる。時には海から川へ移動。メガネ橋で知られる中島川の水中撮影など貴重な映像も登場する。 スタジオ部分の会話もテンポよく、番組を通じて地域の環境を考えるなど、楽しく見せてくれる。

審査員 日笠昭彦 氏

水深わずか10mの所にイカの産卵やウミガメ・スナメリ・タツノオトシゴなど、実に豊かな世界が広がっていることに驚きます。そして目を凝らせば、昔いたはずの在来の魚が姿を消して、以前はいなかった南海の魚が泳ぎ回る異変が起きていました。さらに、耕作放棄地が海草の藻場を減らして礒焼けにつながっているという事実…私たちの日々の営みが足元の環境を脅かしていることをわかりやすく教えてくれます。スタジオを挟むタイミングや間尺も的確で堅苦しくなく、まさに“水中散歩”をしている気分になれました。重要なことを視覚や聴覚を通して楽しみながら理解することができる、クオリティーの高い知的エンターテインメントです。

審査員 金森郁東 氏

地域でこれだけ長い期間撮影されていることに感服します。素晴らしいです。 総集編と言う事とスタジオ部分を入れざるを得ないという構成で、少し水中散歩と言う水中撮影の良さを分りにくくしていたかも知れません。水中散歩と言うタイトルにふさわしい映像をたくさん撮影されていると思いますので、個々の映像をテーマ別にまとめて4K作品として再編集するのも良いかと思います。
貴重なアーカイブです是非末長く続けて下さい。期待しています。

審査員特別賞

株式会社キャッチネットワーク

「KATCHまち自慢」あなたのまちで、1日生中継をしちゃう番組。といいつつ、今回は3時間!
あなたのまちが賞をとっちゃう!?どんな賞!?それは見てのお楽しみ!アワード2019

受賞者の声


角谷佑希さん
番組に出演いただいた地域のみなさまに感謝しています。この番組は、レギュラー番組の年末総集編として放送したもので、地域のみなさん約150人が出演しています。「ケーブルテレビにしかできない生放送番組」、「地域のみなさんが、見て楽しい!出て楽しい!番組」をテーマに放送をはじめて約1年。このような栄えある賞をいただき、スタッフ一同、非常に励みになりました。また、番組を通して地域のみなさまとの繋がりを強くしたいと、営業社員とも連携して育ててきた番組であるため、全社で受賞を喜び合いました。現在は、新型コロナの影響で放送中止の状況が続いていますが、地域のみなさまとともに考え、1日も早く放送が再開できるよう努めていきたいと思います。この度は、本当にありがとうございました。

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審査員長 音 好宏 氏

ケーブルテレビのコミュニティ・チャンネルにありがちな、ちょっとベタな街自慢番組の一面もあるが、癖になりそうな臭いを持っている不思議な番組。同じ町内から、朝、昼、夜と日に3度も生中継してしまうしぶとさや、「まち生」ガールズといった昭和的なネーミングも含め、気取らない、目線の低い番組コンセプトを視聴者に届けている。それゆえにだろうが、カメラがすんなり住民のなかに解け込んで行く様子は番組の力を感じた。

審査員 河野尚行 氏

地域の町を巡る日常のシリーズ番組で、一日3回、午前、昼、午後と同じ地域から長時間中継する番組が他にあるだろうか。これぞ、究極のケーブルTVの地域サービスだろう。
本放送は、その地域以外は、さほど視聴率は高くないと思われるが、こうして一年まとめて、地域の伝統文化、ナイスキャラ人物、などの賞を決めて番組を総決算して見ると、地域の特徴や伝統文化が滲み出て他所者にも結構楽しめる。リポーターの才能が勝負だ。このシリーズが更に長く続くことを祈る。

審査員 日笠昭彦 氏

5人の女性リポーターをスタジオにずらっと並べたり、メインキャスターをあえて街中に出して表彰の出前をしたりと演出面に工夫が見られました。「まちリンピック」など普段の連続企画が単純明快で、老若男女誰もが参加できて楽しい。番組自体が、地域や異なる世代の接着剤になっていることに好感を持ちました。欲を言えば、会場に足を運んでくれた市民を巻き込む演出が欲しかった。他にも「絶景」のコーナーでは、生中継で紹介できなかった晴天時の景色を差し込むなど挿入Vにもう少し力を入れてもよかったのでは…。とはいえ、一日3回の生中継はなかなかできるものではなく、6市19町のまち自慢を紹介し続けてきた功績に敬意を表します。

東近江ケーブルネットワーク株式会社

東近江の語り部2019
学童集団疎開 愛平和

受賞者の声


高田成健さん
審査員特別賞を受賞でき、番組制作者として大変光栄に思います。会社としても初めての受賞となり、大変喜んでいます。受賞した番組は地域の戦争の記憶を語り継いでいくべく5年前から毎年制作しているものです。取材対象が年々減っていく中でも継続して制作してきたことが今回の受賞につながり、嬉しい限りです。取材にご協力いただいた方への恩返しにもなったかと思います。この受賞を励みに、戦争を語り継ぐ番組も含め、より一層地域の方々に愛される、地域を盛り上げることのできるケーブルテレビらしい番組作りに取り組んでいきます。このたびは本当にありがとうございました。

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審査員長 音 好宏 氏

学童疎開の体験者が高齢化し、また、どんどん少なくなるなかで、その体験談を紡いでいく作業は、いましかできないこと。そこで語られる内容は、東近江の歴史的価値の固い証言群であるとともに、平和教育という意味でも価値がある。イラストレーターの成瀬さんが、当時の生活風景をポンチ絵で表現したことで、当時の空気感が伝わり、番組に厚みが出たように思う。

審査員 橋本佳子 氏

戦争体験者が少なくなった今の時代に、地元の戦争時の状況を、きちんと調査をして伝えるシリーズを放送し続けていることが素晴らしい。今回は、全国で60万人!ともいわれる疎開児童に焦点をあてた。大阪から疎開してきた児童、受け入れて児童を支えた地元、そして刻々と身近に迫ってくる戦争が、当時の背景も過不足なく、30分にきっちりと構成されていた。成瀬国晴さんの疎開時のイラストを巧みに使うことで当時の地元の様子を描き、また75年ぶりに成瀬さんたち当時の児童が現在の東近江の場に立つ臨場感がとても良かった。石碑に刻まれた「愛・平和」という当たり前の言葉の大切さが、最後に強く伝わってきた。

審査員 藤森 研 氏

あまり知られていない学童集団疎開の「日常」を、体験者である成瀬さんのイラストを交えて淡々と描き、よくまとまった作品だ。
地元の国民学校の受け入れ、共同生活、家族の面会、空中戦の目撃、近所の家庭へのもらい風呂……。疎開児童の目だけでなく、地元の人たちの話も聞き、立体的に集団疎開の実際を描き出してわかりやすい。
なお、学童疎開中に親が都市空襲などで死に、孤児となった子供たちの悲惨なその後が最近、金田茉莉『かくされてきた戦争孤児』(20年3月講談社)で描かれた。70余年後の映像や出版の努力で、終戦を挟んだ日本の歴史を、私たちは改めて深く考えさせられる。

奨励賞

ひまわりネットワーク株式会社

地域ジャーナルスペシャル
~介助犬が輝くミライのために~

受賞者の声


青山真也さん
人間の生活を助ける介助犬は、その使命を果たすため、日々楽しく訓練に励んでいます。しかし、介助犬という存在は、広く知れ渡っていないのが現状です。この番組で、介助犬の役割や存在意義を伝え、認知度向上に貢献出来ればと思い制作しました。これからもケーブルテレビ局として、地元の長久手市で訓練に励んでいる介助犬を応援していきます。この受賞が介助犬普及に少しでも繋がる事を願います。

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審査員 日笠昭彦 氏

私は20年程前に愛知県で誕生した介助犬の特集を組み、ニューススタジオにアトムという介助犬を招いたことがありました。それだけに「介助犬が必要な人15000人に対し介助犬の数は61頭」という未だ深刻な問題提起に冒頭から引き付けられました。盲導犬との比較もしかり。わかりやすい構成で進行役も的確。過去素材の使い方も効果的です。特に、訓練を経て合格した利用者の買い物に同行し、笑顔をとらえた一連のシーンが素敵です。一度大切な機能を失った人が「今、幸せです。」ときっぱりと語っているところに、介助犬の普及に尽力する人たちは励まされるはずです。見終わった後に介助犬訓練センターと介助犬を応援したくなる好企画。

審査員 服部洋之 氏

これほどまで「介助犬」を育てるのが大変であろうとは知る由もなかった。障害ある人の右腕になる、いや心にも、目にもなり替わることであると認識した。「介助犬により障碍者の生活は180度変わる」しかし、このことを理解している、あるいは知っている人も多くはない。その意味で取り上げるにふさわしい題材であった。一点、介助犬養成の施設がなぜ長久手市にあり、そこが全国的に見てどういう位置づけにあるのか、という点を知りたい。

株式会社ケーブルテレビ富山

富山を釣る
~ホタルイカパターン~

受賞者の声


参納修二さん
この度は奨励賞を頂きありがとうございます。「富山を釣る」は、3年前に立ち上げた番組で、釣りをやったことがない人でも楽しめる番組作りを意識して制作してきました。ホタルイカパターン編では、釣りだけでなくホタルイカ掬いを入れ、釣りに興味が無い人でも楽しめる番組になったと思っております。撮影は基本深夜だったので撮影スタッフ、出演者には大変感謝しております。真っ暗の中いつ魚が釣れるかわからない状況で何時間も粘り、2キロ以上ホタルイカを求めて砂浜を歩きました。ホタルイカの身投げを確認した時の感動は忘れられません。これからも釣りを通して富山湾の魅力を伝えていきたいと思っております。

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審査員 藤森 研 氏

水深200~600㍍に生息する富山湾のホタルイカが、産卵のため岸に寄って来る。それを食べに来るカサゴ、クロダイなどを、ホタルイカに擬したルアーで釣る。
海岸から素早く竿を振り、糸を放つタイミングが大事。あとはホタルイカがゆっくり海中を漂っているイメージでと、釣り方の手ほどきがわかりやすい。
登場する釣り人たちも好感が持てて、実用性ばかりでなく、番組を見ているだけでも楽しめる、単純だがスッキリした作品だ。

審査員 金森郁東 氏

シリーズで作られていて手慣れていらして、なかなかの完成度で素晴らしいです。
私も個人的にその昔関東で釣り具メーカー提供の番組を担当していたので、釣り番組制作の大変さは理解しているつもりです。収録時間帯含め出演者や制作陣の方々には頭が下がります。how-toあり食レポあり季節の映像あり、制作にかかわっている方々の釣り好きがとても伝わってきて好感が持てます。
天然のいけすと言う地の利を生かして今後とも頑張って続けてください。

株式会社ジェイコムウエスト

時空の旅人~関西見聞録~

受賞者の声


桑村紀行さん
この度はコミュニティ部門で奨励賞をいただきありがとうございました。受賞した番組は私が神戸地域担当時代に宝塚市でウィルキンソン炭酸に関係するニュース取材に伺ったのがきっかけです。市の観光協会の方に「宝塚とウィルキンソン炭酸の関係を広くPRしていきたいので協力いただけないか」との話をいただき実現したものでした。それがこのような形で評価されたことを私以上に地元関係者の皆様や制作会社スタッフの皆様が喜んでくださいました。そのことを何より嬉しく思っています。これを糧としこれからも地域メディアの一員として地域の役にたてるよう精進したいと思っています。この度は本当にありがとうございました。

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審査員 橋本佳子 氏

あのウィルキンソン炭酸が宝塚発だったとは驚きでした!地元の知られざる歴史を丁寧に紐解いていった。映像がないなか資料を掘り起こし、温泉の発見、ラムネ、そしてウィルキンソンの炭酸、その事業発展とうまい展開で見せ切った。宝塚発の1本の炭酸から、明治の時代の商品開発や、流通の状況が見えてくるのが大変に興味深く、しかもそれが世界規模で描かれ、さらに地元宝塚の観光地としての発展と絡み合う、へえ〜と思うことばかりだった。今後、さらに調査を重ね、優秀なシナリオライターと組み、予算を調達できれば、歴史ドラマができる可能性があると思った。

審査員 金森郁東 氏

誰もが知るウイルキンソン炭酸を題材にした番組。今回拝見した番組の中では違和感なく23分一気に観られた希少な作品です。構成や編集が自然で好感が持てます。ケーブルテレビ局ならではの地域をよくみている構成で、サービスエリアではなく全国に紹介できる素敵な内容だと思います。
とにかくバランスが良いです。なぜだろうと思い全編見直しました。一つの要因は仕上げの音、バランス良さですね。ナレーターの桂小春団治さんの絶妙さも多々あります。

宮崎ケーブルテレビ株式会社

TADORU ~辿る~
「みやざきの焼き鳥文化」

受賞者の声


児島和生さん
数多くの素晴らしい出品作がある中、栄えある日本ケーブルテレビ大賞番組アワード・コミュニティ部門で奨励賞に選出いただきました事、たいへん励みになります。
TADORUは地元宮崎で当たり前となっている文化について、そのルーツから掘り起こしていこうと企画したシリーズ作品となっており、本作で3作品目となるものです。
これからも様々な地元文化のルーツについて風化しないうちに映像アーカイブとして残すことで、地域の文化資産形成の一助となるよう、作り続けていきたいと思っております。

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審査員 佐々木嘉雄 氏

宮崎の焼鳥と言えば、串に刺した焼鳥ではなく「炭火焼」だが、郷土料理として有名ではあるが、意外とそのルーツは地元の人も知らないという。そこで、そのルーツを辿るシリーズ番組の第3弾。
発祥の地は何処か? 県庁や図書館などをレポーターが調査してまわる。昭和35年、宮崎県は気候(台風)条件から畜産に力をいれるようになり養鶏産業が伸びた。一方、宮崎県は新婚旅行のメッカとなり、その時代に丸万焼鳥本店が炭火焼を提供するようになったとか。これが原点か。
テーマとしては単純かも知れないが、なかなか興味深く視聴できた。地場産業を応援する番組として評価したい。

審査員 服部洋之 氏

地鶏の定義やなぜその食べ方が誕生したのか、実は知っているようで知らない事、曖昧にしか記憶していないことがあると再認識した作品。特筆すべき構成力・演出力があるわけではありませんが、「知的好奇心」を満たすというテレビメディアとしては肩肘張らずに視聴できる作品。かつて日本テレビの「謎学の旅」という番組がありましたが、その内容・構成を思い出しました。一度、参考にご覧になってみると良いでしょう。先人の経験を学んでみるのも良い経験です。

新人賞部門

最優秀新人賞

株式会社エコーシティー・駒ヶ岳

高校生が幸せのおてつだい 
やっちゃえブライダル!

受賞者の声


北沢優衣さん
このような素晴らしい賞を頂けたこと、大変光栄に思います。制作にあたっては多くの方に支えて頂きました。感謝の気持ちで一杯です。高校生が一から結婚式をプロデュースした「やっちゃえブライダル」。取材を始めた時はどのような展開になるのか分かりませんでしたが、高校生たちのやる気・ブライダル関係者の皆さんの熱量に助けられ、楽しく撮影することができました。高校生の生の声や空気感を伝えることを心掛け、先輩方にアドバイスをいただきながら制作しました。番組を通して、高校生の頑張りを感じて頂けたら嬉しいです。今後も地域の皆さんに喜んで頂けるような番組づくりに取り組んで参りたいと思います。ありがとうございました。

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審査員長 音 好宏 氏

「やっちゃえブライダル」というサブタイトルが象徴するように、高校生たちが、学園祭の準備のように、一見、統一感がなく、ガヤガヤしながらも、試行錯誤の末に、手作りの結婚式を完成させていくところが面白い。挙式までの彼らのやり取りを丁寧に取材していることにより、この企画に参加した高校生たち一人一人の成長の過程が垣間見えるところにも惹かれる。

審査員 河野尚行 氏

高校の商業科でブライダル講座を学ぶ高校生14人が、実際の結婚式の演出を3カ月かけて企画、実行する青春群像。その不安、戸惑い、喜び、達成感がそれぞれのパートごとによく描かれている。若い人らしい企画が随所にみられる。ただTVチームの責任か、結婚式本番での司会、ピアノ、挨拶の各音声が極めて聞き取りにくく、映像に比べ、神経が行き届いていないことが惜しまれる。

審査員 藤森 研 氏

地元の高校商業科の生徒が、実際の結婚式を企画・準備・実行するという珍しい題材を丹念に追い、たいそう楽しい映像作品になった。第一の勝因はテーマ選択のよさだろう。 準備過程も飽きさせない。MC担当、BGM担当などに分かれ、新郎新婦の写真で作るジグソーパズルなどサプライズ演出も企画する。式本番では、高校生たちが突然踊りだすフラッシュモブで盛り上げ、花束と手紙のリレーと盛り沢山。プロの協力も得て繰り出すさまざまな実際の企画の楽しさが第二の勝因。
高校生たち一人一人の表情もいい。彼ら彼女らの中に撮影者が溶け込んでいたからなら、第三の勝因だろう。

優秀賞

株式会社ジェイコムウエスト

さようなら、私が生きた京橋店

受賞者の声


上田一輝さん
このような素晴らしい賞を頂き、とても光栄です。
イオン京橋店は多くの人間の思い出がつまった場所です。番組では1人の女性にフォーカスを当てましたが、取材を通して様々な人たちの無数のエピソードに触れ合うことができました。改めて、地域には私たちが知らない物語がまだまだあるのだと実感しました。ケーブルテレビの役割の1つは、そうした物語の語り手になることだと考えています。
今回の受賞を今後の活動に対する皆様からの期待ととらえて、これからも地域に貢献していきたいと思います。

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審査員長 音 好宏 氏

京橋駅に直結するショッピングセンターであるイオン京橋店の閉店を機に、同店を退職する難波美也子さんの半生を振り返ることで、1971年にオープンした「ダイエー」そして、その店舗を引き継いだ「イオン京橋店」の姿を通して、京橋で暮らす人々の半世紀を綴るケーブルテレビらしい作品。戦後の高度成長期以降の大型ショッピングセンターが、市民生活のなかでどのような消費文化を育むのに寄与したかも垣間見える。

審査員 佐々木嘉雄 氏

47年間の歴史を閉じる「イオン京橋店」にオープン当時から働いていた女性にスポットをあてた報道ドキュメント。
「イオン京橋店」は地元の人たちに親しまれていたため、閉店の時には多くのメディアがニュースとして伝えたが、そこで働く個人にスポットをあてた番組はこの番組だけ。こういう人物を発掘するのも地域メディアの役割といえよう。
閉店の数週間前から取材し、店長や店舗の人との密なコミュニケーションのもとに、女性従業員の人生を描いた歴史物語。小品ながらもあたたかさが感じられる作品でした。
それにしても、その女性が退職後、13LDKの田舎暮しをするというエピソードにはビックリした。

審査員 藤森 研 氏

大手スーパーの従業員として、店の誕生から閉店までの47年を全うした、一人の働く女性の最後の一日を切り取った。
客のクレームに心痛め、「いらっしゃいませ」を練習した新人時代の思い出は「なるほど」と共感できる。ただ、その後の閉店まではやや駆け足になった。13分という枠での短編作品のためか、店員という職の喜怒哀楽の描かれ方がもう一つ物足りないと感じるのは、無いものねだりか。
閉店の時。シャッターがゆっくり下がり、客から拍手。店員たちは礼をし続ける。シャッターが降り切って、互いにねぎらいの拍手。記録として残る貴重な一時代史の映像だ。

奨励賞

株式会社Goolight

よくばりな人生
~報道写真家・笹本恒子~

受賞者の声


チャーチ敦子さん
この度は、権威ある番組アワードにおきまして、新人賞部門の奨励賞をいただき、誠にありがとうございました。
この番組は、私が番組制作を始めてから、ちょうど1年が経つ頃に制作させていただきました。まずは、制作の機会をくださった丸山社長に感謝したいと思います。取材にあたりましては、過去資料の提供・インタビューの手配など、多くの方にご尽力をいただき支えていただきました。中でも笹本さんの姪御さんである野村エミ子さん初め、日本写真家協会の副会長、松本徳彦さんには、心より感謝申し上げます。この番組を通して、笹本さんの人生から、前向きに“よくばりに”生きるパワーを多くの方に与えることができたら、嬉しく思います。

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審査員 河野尚行 氏

よく知られた人物であるが「ある人生」ものとしての完成度が高い。写真家として絵になり易い対象と素材、104歳という年齢にも関わらず魅力的な話しぶり、戦後、一度は写真家をやめようとした人生。個性を売り込む写真家ではなく、その写真は記録性が高い。杉村春子、佐多稲子、宇野千代、越路吹雪、井伏鱒二、長谷川伸、それぞれの性格を映し出す白黒のポートレイトは今となってはいっそう貴重な記録だ。須坂市に写真100枚を寄贈した理由も笹本恒子さんらしい。

審査員 佐々木嘉雄 氏

大正3年生れの女性初の報道カメラマン笹本恒子さんの105歳の人生を追った番組。とても年令を感じさせない動きや言葉に驚かされた。小池都知子都知事から名誉都民も授与されている。須坂市の出身ではないが、ぶどうの収穫体験などで須坂を訪問している。
1940年日独仏3カ国婦人会議のモノクロ写真や、1960年安保闘争時の樺美智子さんの葬儀の写真など報道写真家としての生き様をカメラは描いている。
63歳で写真家を断念したが、その8年後、2度目の夫の死後、写真家に復帰。「やっぱり写真の仕事が好きだった」という言葉に重みを感じた。今も明治生れの女性たちを撮り続けている姿に感動した。
新人らしからぬ構成に感心。

株式会社ひまわりてれび

犬塚弘 酒びん×人生

受賞者の声


溝田盟子さん
犬塚さんに出会い、彼を囲むたくさんの笑顔と本気の想いに触れ、表現することの素晴らしさや、人はいつでもどこでも何度でも挑戦できるということを学びました。彼の人生が酒びんで鮮やかに彩られているように、私も「ケーブルテレビ×人生」と胸を張って言えるよう、これからも真っ直ぐに生きる人の姿を追い続け、「生(き)」のままに、心豊かな番組作りに努めて参ります。

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審査員 橋本佳子 氏

デビュー作で素敵な取材対象と出会ったのは幸運と思う。10分余の短い尺ではあるが、アール・ブリュット作家 犬塚弘と彼の作品の魅力を伝える紹介番組になっていた。おそらく、本人や周囲との撮影へのハードルはかなり高かったのではないかと推察される。そのなかで、きちんと取材者として関係性を構築して、そのことが番組からも伝わってきたのは素晴らしい。しかし、もし、今後も取材を続けるのであれば、次は、犬塚弘の紹介ではなく、それを超え、アーチストとしての犬塚弘をとことん見つめ、その作品、創作のプロセスなどときちんと向き合ってほしいと思った。

審査員 日笠昭彦 氏

「この先を見てみたい!」と思わせる力のある導入です。ストレートなタイトルもいい。ただ、「弘さんは何者なのか」をつかめないままの冒頭4分半は長く感じました。ハンディキャップがある弘さんに配慮しながらの取材は大変だったと思いますが、彼の肉声はもう少し早めに聞かせて欲しかった。素材がいいだけに、前半ほぼナレーションとインタビューのみでの構成は流れてしまって、もったいなく感じました。さらに、「絵」とそこに添えられた「言葉」を、もう少しじっくり鑑賞して味わいたかった気がします。それにしても魅力的な人物であり、味のある企画。これからもぜひ、弘さんが描く躍動感ある酒びんと彼の人生の良き応援団でいてください。

4K部門

奨励賞

ひまわりネットワーク株式会社

刻の遺産
からくり人形作家 山崎津義
~からくりに込めた思い~

受賞者の声


青山真也さん
この番組は、からくり人形作家の山崎津義さんの生き様に感銘を受けたことから制作しました。山崎さんは、一度しかない人生を悔いのないよう毎日何かに挑戦して生きています。そんな山崎さんの生き様が一人でも多くの人に伝われば幸いです。また、慣れない4Kでの撮影でしたが、映像を通じてからくりの精巧を伝えたいという思いもありました。まだまだ技術不足ですが、このような栄えある賞を頂きありがとうございました。

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審査員 服部洋之 氏

「からくり」という日本工芸、日本の工業技術のオリジンともいえる題材を4Kで表現しようという試みは理解できた。一方で、フォーカスの甘さや細部の表現へのこだわり、見せるべきオブジェクト(撮影対象)と撮影手法など、もう一歩練踏み込んだ4K制作意図が望まれた。

審査員 金森郁東 氏

からくりをテーマにした題材として最も4K向きな作品。仕掛けを高い解像度でみせているので興味深い内容に仕上がっています。現場が大変な4K収録ですが、欲を言うならカメラを三脚につけるにしても手持ちで撮るにしても、今は安価になったジンバルを取り付ける等して収録頂き、映像を安定させて欲しかった。からくり映像はフォーカスにもう一工夫あればより良くなると思います。
音声は収録現場はモノラルでもステレオ仕上げでお願いします。

株式会社ケーブルテレビ富山

クロスロード ~人生と車の交差点 「#5 愛しのマイ・フェアレディ。春のスパイシードライブ」

受賞者の声


来海大介さん
この度は4K部門奨励賞を授与いただきありがとうございます。
改めて、これまで出演いただいたすべてのオーナーの方々および関わったスタッフに深く感謝申し上げます。
この受賞をきっかけに1人でも多くの視聴者が増え、番組をきっかけに愛車をもう一度見直したり、ドライブに出かけたり、車を少しでも好きになってもらえると嬉しいです。そして、「ケーブルテレビに加入してよかった」と思ってもらえるよう、今後も番組作りに励んでいきたいと思います。

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審査員 服部洋之 氏

4Kに限ることではないが「車×道」というテーマの掛け算が興味深い構成である。旧知の「CARG RAPHIC TV」は、クルマというファクトをいかに丁寧に見せるかを主眼とするため、走る道はほとんど「箱根ターンパイク」であることを鑑みれば、「車×道」は新しい切り口になろう。金属的でかつ曲線的、映り込みや自然や造形物とのマッチングなど、4K撮影・構成に適した題材を上手に料理した。一方で4Kならではの演出にはもう一工夫が必要とも感じた。

審査員 金森郁東 氏

若かりし頃あこがれの車が登場して一気に没入して拝見しました。丁寧に制作されていて何よりも制作陣が車好なんだなと伝わって来ます。構成は盛りだくさん過ぎて時に現実に引き戻される所があり、制作陣が想定した視聴環境を考えました。スマホサイズなのか大型モニタやスクリーンなのか? もちろん4K部門でなければこのような発言は致しません。この時代の車一番の魅力であるエンジン音を爆音で低域まで聴かせたいし定位感も欲しいです。

株式会社ちゅピCOMおのみち

瀬戸内しまなみ海道
ポタリングEYE

受賞者の声


大塚洋平さん
4K部門にエントリー致しました。これからの映像規格である4Kの奨励賞をいただき大変嬉しく思います。受賞番組は、サイクリストの聖地と言われる「しまなみ海道」を自転車で走る内容です。“自ら走行しているかの様な臨場感”と“瀬戸内の多島美を立体的に”そして“島々を繋ぐ橋を雄大に!”をテーマに撮影を行いました。それが繊細で美しい映像表現が出来る4Kならではの番組作りにつながるとの思いからです。奨励賞をいただきましたが、審査員の方々からの評価は芳しくなかったように思われます。これを、「まだまだ頑張れ」との叱咤激励と受け止めて、さらに良い“4Kならでは”の映像表現ができるよう努めて行きたいと思います。今回、アワードにエントリーした事で、尾道や瀬戸内地域の観光資源である「しまなみ海道」を多方面にPRする事が出来ました。これからも地域の特性を活かした番組作りを行いたいと思います。有難うございました。

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審査員 服部洋之 氏

ドローンや目線カメラなどいわゆる「4Kならでは」コンテンツ。カラーグレーディングなどにも留意し、花鳥風月+αとしての4K番組である。しかし、それ以上でもそれ以下でない。新しい4K秘技術があるか、表現の工夫があるか、視聴者が意識することなく、それでいて4Kの表現力の広さを利活用しているかという点でもう一歩の熟考が必要。

審査員 金森郁東 氏

大きな4Kテレビモニタで拝見して気持の良い作品です。ドローンに代表されるスモールイメージャのカメラの完成度は高く、特に屋外で撮影したどこを観てもパンフォーカスな映像は安心できます。地上でも小型カメラの恩恵でこの様な作品が作れるのだと痛感します。欲を言えばドローン・演者・追いかけカメラそれぞれの目線です。この作品イマジナリーライン的に少し混乱しました。同じ素材でも編集でまだまだ良くなると思います。今後を期待します。